コロナ禍によるワークスタイルの変化に伴い、オフィスの移転を検討している企業が増えています。
しかしオフィスの移転は頻繁に行われることではないため、費用や会計処理の方法ついてお悩みのご担当者様は多いのではないでしょうか。
こちらの記事では、オフィスの移転で発生する費用やその会計処理の方法について、ご紹介していきます。
INDEX
・オフィスの移転でかかる費用
・オフィス移転の会計処理
・オフィス移転費用を抑えるポイント
・まとめ
オフィスの移転でかかる費用
オフィスの移転でかかる費用は大きく「新オフィスで必要な費用」「引っ越しで必要な費用」「旧オフィスで必要な費用」の3つに分けられます。
条件に当てはめてオフィスの移転費用を算出してみましょう。
新オフィスで必要な費用
1つ目に、移転先の新オフィスで必要になる費用についてご説明いたします。
【不動産取引費用】
新オフィスの賃貸契約に必要となる「不動産取得費用」。
不動産取得費用には、「前賃料」「敷金(保証金)償却・礼金」「仲介手数料」「火災保険料」があります。
・前家賃
「前家賃」は、賃貸契約の際に支払う当月分の家賃のことです。
賃貸物件の家賃によって変動があるため相場はありませんが、物件によっては前家賃を2ヵ月分請求される場合があるため注意が必要です。
・敷金(保証金)
「敷金(保証金)」は、賃貸オフィスを借りる際にビルのオーナーに対して、賃料の滞納や入居テナントの過失による損傷の修繕費を担保するために、支払うお金をさします。
オフィスの場合「敷金(保証金)」は、賃料の6〜12ヵ月分が相場です。
また償却がある契約の場合は、敷金(保証金)の一部をビルのオーナーに対して支払うことになります。
・礼金
「礼金」は、ビルのオーナーに対して払うお礼のお金をさします。
「敷金(保証金)」は契約解除の際に戻ってきますが、「礼金」は戻ってこないので注意が必要です。
「礼金」が必要のない物件もありますが、賃料の1〜2ヵ月分が相場となります。
・仲介手数料
「仲介手数料」は、不動産仲介業者を利用した場合に発生します。
家賃の1ヵ月分が相場です。
・火災保険
「火災保険」は、賃貸契約をする場合には加入が必須です。
火災保険の相場は2年契約で2〜3万円が相場になりますが、契約内容によって補償される範囲は変わってきます。
建物だけでなくオフィス什器の補償や、水漏れによる下層階への損害なども補償の範囲となるものもあるため、補償の範囲を確認し最適な保険を選ぶようにしましょう。
【内装工事費用】
新オフィスの内装工事で必要となる「内装工事費用」。
内装工事には、「パーテーション工事」「電気設備工事」「空調設備工事」「消防設備工事」などがあります。
オフィスの内装工事の坪単価は10万円〜20万円程度が相場ですが、凝った内装にする場合はそれに伴い費用も膨らみます。
業者によって対応してくれる内容や、料金にも大きく違いがあるため、理想の内装を希望の価格で工事してくれる業者を選ぶようにしましょう。
【ネットワーク工事費用】
新オフィスのインフラ整備にかかる「ネットワーク工事費用」。
LANや電話など社員1人あたり5万円程度が相場ですが、ネットワーク工事費も、セキュリティを強化したいなどの希望があれば、その分費用も膨らみます。
【什器購入費用】
新オフィスのレイアウトで重要になる「什器購入費」。
新オフィスの内装にあわせてデスクやイス、ロッカーなど、様々なものを新しく購入するといったことが考えられます。
社員1人あたり10万円が相場ですが、旧オフィスで使用していた什器の流用も合わせて検討しましょう。
引っ越しで必要な費用
2つ目に、引っ越しで必要になる費用について、ご説明いたします。
【引っ越し費用】
書類、パソコンなどの備品を運ぶ際にかかる「引っ越し費用」。
社員1人あたり3万円程度が相場です。
社員が20人いれば約60万円、100人いれば約300万円です。
【不用品処分費用(産業廃棄物処理費用)】
新オフィスでは使用しない旧オフィスの什器などの「処分費用」。
不用品処分費用は、2トン車1台分で約7〜8万円程度、4トン車1台分で約10〜15万円程度が相場です。
しかし、オフィスの移転時には古くなったOA機器など、予想以上に様々な不用品が発生し費用がかかってしまう場合もあるので注意が必要です。
業者によっては、リサイクル品として買い取りを行ってくれる場合もあります。什器購入と合わせて早めに検討を進めましょう。
旧オフィスで必要な費用
3つ目に、旧オフィスで必要になる費用について、ご説明いたします。
【原状回復工事費】
旧オフィスを入居時の状態に戻すために必要な「原状回復工事」。
具体的には、パーテーションの撤去や、床・壁・天井の修繕、クリーニングなどが必要になります。
原状回復工事にかかる費用は、オフィスの利用状況や業者によって見積金額が異なる場合があります。
また、ビルの契約によっては原状回復工事の業者を選べない場合がありますので、事前に確認しておくことが必要です。
原状回復の費用は物件により大きく異なりますが、10〜50坪のオフィスの場合1坪あたり3〜5万円程度。
50坪以上の大規模なビルの場合は、10〜20万円程度かかる事もあります。
原状回復についてはこちらのコラムで詳しく説明しています。
オフィス移転の会計処理
ここでは、オフィスの移転費用を会計処理する際に使われる勘定科目をご紹介します。
オフィスの移転をすると、多くの種類の会計処理が必要になります。
内装工事費用、什器購入費用など、オフィス移転にかかる費用を「何費」として処理すればいいのか。
会計処理を「新オフィス」「引っ越し」「旧オフィス」で費用別にまとめましたので、仕訳の参考にしてください。
新オフィスの会計処理
「敷金(保証金)」は【資産】にあたります。
「礼金」は金額が20万円未満の場合は勘定科目は【地方賃貸】または【支払い手数料】として仕訳し、全額費用として処理することができます。
金額が20万円以上の場合は【繰越資産】として、支払い時は勘定科目は【長期前払費用】を使い繰越資産に計上し、決算時には【地方賃貸】もしくは【支払い手数料】を使い償却が必要となります。
「仲介手数料」は【支払い手数料】で処理することができます。
しかし、オフィス移転は定期的に行われるものではないため【雑費】として処理することも可能です。
「内装工事費」は次の4種類に分類されます。
①新築の場合に限り【建物】で計上されます。建築中の場合は、【建設仮勘定】で計上されることもあります。
②電気設備、ガス設備、衛生設備、冷暖房設備など、設備工事に関するものは、【建物付属設備】として計上されます。パーテーションやエアーカーテンなどもこちらに該当します。
③デスクやコピー機などの機器や消耗品で20万円以上のものは【備品】として計上されます。
④内装工事のデザイン費や人件費、工事に関する官公庁手続きなど工事に間接的に要したものは【諸経費】として計上されます。
引っ越しの会計処理
「引っ越し費用」は【雑費】として仕訳されることが一般的です。
但し、社会通念上妥当な金額と判断されない場合は【雑費】として計上できないため注意が必要です。
また、引っ越し業者に支払う費用については「雑費」「支払い手数料」「荷造運賃」などの勘定科目を用いて処理することができます。
「不用品処分費用(産業廃棄物処理費用)」は【固定資産除却損】で処理しましょう。
必ず「廃棄証明書」を発行してもらい保管するようにしましょう。
旧オフィスの会計処理
「原状回復費用」は【修繕費】で処理されることが一般的です。
修繕費は経費扱いとなるため、原状回復費を全額経費として計上することができます。
旧オフィスの契約時に支払っている「礼金」の均等償却でお金が余っている場合は、その費用のすべてを【修繕費】として処理することができます。
オフィス移転費用を抑えるポイント
オフィス移転は工事や引っ越しなど手間が非常にかかります。
それらの作業を別々の業者が行うと、その分費用がかかってしまいます。
また、業者が増えることにより業者間の連携や、施工状況の管理などの手間が増えてしまいます。
オフィス移転をトータルでサポートできる業者であれば、新オフィスの内装工事から引っ越し、旧オフィスの原状回復工事までワンストップで対応しているため、非常に便利で、効率よく作業が進みます。
まとめ
オフィス移転にはまとまった費用が必要になります。
費用が膨らみ過ぎないようにするためには、計画的にオフィス移転をすることが大切です。
オフィス移転の業者選びや、新オフィスの内装デザイン、什器の選別などやるべきことはたくさんあります。
オフィス移転の費用を抑えるには、事前にいくつかの業者に見積もりを出してもらい、移転する目的がしっかりと達成できるかどうかを検討することが大切です。
まずは、業者を見極めるために余裕を持ったスケジュールで計画的に移転を進めていきましょう。
サン・プランナーは東京・名古屋・福岡を中心にオフィスのレイアウト・プランニング、インテリア・内装工事、電気系統・通信工事、電話・OA機器販売、オフィス家具販売、引っ越し、原状回復工事、オフィスツール、採用効率向上オフィスの事業内容を展開。そのためオフィス移転をワンストップで行うことが可能です。
お気軽にサン・プランナーへご相談ください。