近年、多くの企業が直面している課題の一つに、複数の拠点やオフィスの非効率的な運用があります。
これらの問題に対する解決策として注目を集めているのが、「拠点統合」です。
本記事では、拠点統合のメリットとデメリット、そして効果的な実施方法について、経営層の視点から詳しく解説します。
また、コスト削減や業務効率化といったメリットの他、初期投資やリスク分散の課題など、拠点統合に関する重要なポイントを確認していきましょう。
INDEX
1.拠点統合(拠点集約)とは?
2.拠点統合のメリット
3.拠点統合のデメリット
4.拠点統合の進め方
5.まとめ
1.拠点統合(拠点集約)とは?
拠点統合とは、企業が複数の拠点やオフィスを1カ所に集約する戦略的な取り組みのことで、拠点集約とも呼ばれます。
具体的には、複数の支社や営業所を本社に統合したり、同じ地域内の複数のオフィスを、一つの大規模オフィスに集約したりすることです。
拠点統合は、企業の効率性向上とコスト削減を主な目的としており、近年のワークスタイルの変化に伴い、徐々に注目を集めています。
その背景にあるのが、ビジネス環境の変化です。
日本政府の働き方改革推進や新型コロナウイルスの影響によって、リモートワークが普及。
従来のオフィスの在り方が見直され、より効率的で柔軟な働き方を実現するための選択肢として、拠点統合が浮上しています。
・フロアへの集約も拠点統合
フロアへの集約(ワンフロアオフィス)も、拠点統合の一形態と言えるでしょう。
ワンフロアオフィスの場合、同じ建物内の複数のフロアを一つのフロアに集約します。
全ての業務を一つの階に集約することで、より効率的なオフィス運営が可能です。
例えば、別々のフロアにいた営業部門と管理部門を同じフロアに集約すれば、情報共有がスムーズになり、意思決定のスピードが向上するでしょう。
2.拠点統合のメリット
拠点統合のメリットは、コストの削減やオフィス環境の向上、業務の効率化に期待できることです。
それぞれ、詳しく解説します。
・コストの削減
大幅なコスト削減につながることも、拠点統合のメリットです。
まず、オフィスの賃料や維持費、建物の修繕費などの固定費を大幅に削減できます。
また、設備や備品が重複しにくくなるため、管理コストも下がります。
例えば、拠点統合に伴って、複数の拠点で管理していたコピー機や会議室などを共有すれば、設備投資や維持費が大幅に減るでしょう。
長い目で見ると、エネルギー効率の向上や設備の集中管理によって、運用コストの削減につながると考えられます。
・オフィス環境の向上
拠点統合は、オフィス環境を見直す良い機会にもなります。
新しいオフィスで最新の設備やテクノロジーを導入すれば、従業員の満足度が向上し、離職率の低下と優秀な人材獲得にもつながるでしょう。
また、フリーアドレス制の導入や、集中作業用のブース、リラックスできるラウンジスペースなど、多様な働き方に対応した空間設計にするのも一案です。
自然光を多く取り入れたデザインや、人間工学に基づいた家具の導入、コラボレーションスペースの設置なども検討するとよいでしょう。
・業務の効率化
拠点統合を進めると、業務プロセスの効率化につながる可能性があります。
まず、拠点間の移動が不要になることで、他部署との打ち合わせや意見交換が速やかに行えるようになります。
スピーディーな意思決定によって、プロジェクトの進行自体も速くなるでしょう。
また、直接顔を合わせる機会が増えることで、各部署の専門知識や経験を共有しやすくなり、新しいアイデアも生まれやすくなります。
さらに、拠点統合を機に、業務プロセスの見直しや標準化を実施すれば、重複業務や作業ロスの削減につながります。
・社内コミュニケーションの促進
拠点統合のメリットの一つは、社内コミュニケーションの促進です。
拠点やフロアを集約することで、部署間の物理的な距離が縮まり、従業員同士が顔を合わせる機会が増加します。
例えば、同じオフィス内で働くことで、異なる部署の社員とも自然とコミュニケーションが生まれ、情報共有がスムーズになります。
喫煙所や休憩スペースでの雑談といったコミュニケーションも活発化するでしょう。
また、コミュニケーションが活発になれば、社員の不満や意見を吸い上げやすくなり、組織全体の意思疎通が円滑になります。
結果的に、社員のモチベーションアップも期待できるでしょう。
3.拠点統合のデメリット
拠点統合のデメリットは、初期費用の発生やリスク分散に欠ける点、従業員の不安や抵抗が伴う点などです。
以下、一つずつ解説します。
・初期費用の発生
拠点統合を実施する際に、相当な初期投資が必要となることは、拠点統合の主要なデメリットの一つとして挙げられます。
新しいオフィススペースの確保や内装工事、設備の移転や更新などに伴う費用が発生するためです。
また、一時的な業務の中断による生産性の低下、すなわち売上の減少も考慮する必要があります。
とは言え、長期的に見ると、運用コストの削減によって初期投資を回収できる可能性はあります。
拠点統合を実施する際は、段階的に計画を立て、費用対効果を慎重に分析することが重要と言えるでしょう。
・リスク分散の欠如
拠点統合には、リスク分散の観点からのデメリットも存在します。
拠点が一つの場合、自然災害による被害に遭ったときに、企業の全機能が停止してもおかしくありません。
実際、2011年の東日本大震災の際、東京に本社機能を集中させていた多くの企業が業務を継続することが困難になりました。
このような経験から、リスク分散の重要性が再認識されています。
代替拠点の確保やリモートワーク体制の整備など、リスクに対する対策を併せて実施することが重要です。
・従業員の抵抗や不安
拠点統合に伴う大きな変化であり、無視できない重要なデメリットが、従業員に不安や抵抗感を引き起こす可能性があることです。
特に、通勤時間の変化や慣れ親しんだ環境からの移動は、従業員のモチベーションや生産性に大きな影響を与えかねません。
また、新しい環境での業務スタイルの変更や、他部署との統合による組織文化の衝突なども懸念されます。
これらの問題に対しては、十分な事前説明と従業員へのヒアリング、段階的な移行プロセスの導入などの対策が必要です。
4.拠点統合の進め方
拠点統合を成功させるためには、綿密な計画と段階的なアプローチが欠かせません。
効果的な拠点統合の進め方は、以下のとおりです。
1.現状分析
2.統合後のビジョン策定
3.段階的な統合計画の立案
4.従業員へのヒアリングと説明
5.統合後のフォローアップ
まず、現状分析では、各拠点の業務内容や人員配置、コストなどを詳細に調査し、統合によって得られる具体的なメリットを明確にします。
次に、統合後のビジョン策定では、新しいオフィスのレイアウトや業務フロー、コミュニケーション方法などを具体的にイメージし、実現に向けた計画を立てましょう。
その後、統合計画に沿って、部門ごとや機能ごとに段階的に移行することで、拠点の集中によるリスクを抑えられます。
従業員の理解と協力を得るために、統合の目的や期待される効果、新しい環境での働き方などについて、十分な説明と対話の機会を設けることも忘れてはいけません。
統合後は、新しい環境での業務効率や従業員の満足度を定期的に評価し、必要に応じて調整を行うことで、拠点統合による効果を適切に得られるでしょう。
5.まとめ:拠点統合の戦略的な実施に向けて
拠点統合は、コスト削減や業務効率化など多くのメリットをもたらす一方、初期投資やリスク分散、従業員の不安といった課題も抱えています。
統合成功のためには、綿密な現状分析と将来ビジョンの策定、段階的なアプローチなどが不可欠です。
これらのポイントを踏まえ、適切な戦略を立て、企業の競争力強化と持続的な成長を目指しましょう。
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