オフィス移転は、新たなビジネスチャンスを生み出す一方で、多くのコストが発生する重要なプロジェクトです。
移転に伴う費用は、不動産関連や内装工事、設備購入にかかる費用など、多岐にわたります。
しかし、計画的に進めれば、これらのコストを抑えることが可能です。
本記事では、オフィス移転にかかる主な費用の種類を整理した上で、内訳別の具体的なコスト削減テクニックを解説します。
INDEX
1.オフィス移転におけるコストの種類
2.オフィスコスト削減テクニック【不動産編】
3.オフィスコスト削減テクニック【内装・設備編】
4.オフィスコスト削減テクニック【什器・備品編】
5.オフィスコスト削減テクニック【廃棄・処理編】
6.まとめ
1.オフィス移転におけるコストの種類
オフィス移転にかかる主なコストは、以下の通りです。
・不動産関連費用:賃料、保証金、礼金、仲介手数料など
・内装・設備関連費用:レイアウト設計、内装工事、電気・空調設備工事など
・什器・備品関連費用:オフィス家具、OA機器、事務用品など
・移転作業費用:引越し業者費用、旧オフィスの原状回復費用、不用品処分費用など
・その他費用:移転告知費用、各種手続き費用など
オフィス移転コストは、新オフィス・旧オフィスの両方で発生します。
さらに、引越しに伴う物理的な移転コストや、移転に伴う付随的なコスト(名刺やパンフレットの再作成費用など)もかかってきます。
上記のうち、特に交渉や選定次第で大幅なコスト削減が可能なのが、「不動産関連費用」「内装・設備関連費用」「什器・備品関連費用」の3つです。
以下で詳しい削減テクニックを紹介していきます。
2.オフィスコスト削減テクニック【不動産編】
まず、賃料や仲介手数料といった、不動産に関わるコスト削減方法を解説していきます。
・賃料・仲介手数料の交渉
毎月かかる不動産コストを抑えるためには、賃料や仲介手数料の交渉が効果的です。
交渉のためには、複数の物件を比較検討し、相場をきちんと把握しておきましょう。
相場が分からなければ、そもそも賃料が高いのか低いのか判断できません。
場合によっては、コストを安くするどころか、結果的に高くついてしまうケースもあります。
実際に賃料を交渉するときは、狙っているオフィス物件の弱点を指摘するのが有効です。
例えば、築年数の古さや設備の状態、立地なども十分な交渉材料になります。
移転後のコスト回りに不安があるなら、契約時にフリーレントを設けてもらう交渉をしてみるのも手段の一つです。
フリーレントとは契約開始後数カ月間の賃料を免除してもらえる仕組みを指します。
また、不動産仲介業者との交渉によって、仲介手数料の削減も可能です。
仲介手数料は賃料の1カ月分が相場で、法律上上限が決まっているものの、交渉次第では値引きしてもらえます。
こちらも賃料と同様に相場を調べ、より安い他社の金額を提示すると良いでしょう。
・居抜き物件の選定
新オフィスに居抜き物件を選ぶのも、移転コスト削減方法の一つです。
居抜き物件とは、前テナントが使用していた内装や設備、什器などがそのまま残された状態の不動産を指します。
つまり、既存の内装・設備を利用すれば、内装工事費や設備導入費の大幅なカットが可能です。
また、居抜き物件を選べば、内装や設備を整えるための期間を短縮できます。
期間が短ければ、移転後の開業までの賃料を極力抑えられるため、賃料の削減にもつながり一石二鳥です。
ただし、居抜き物件を選ぶときは、既存の内装や設備の状態をしっかり確認し、問題がないか判断する必要があります。
通常の賃貸物件より自由度が低いため、オフィスレイアウトにこだわる場合には向かない点にも注意が必要です。
・立地・ビルグレードの見直し
新オフィスの立地やビルのグレードを見直すことも、賃料および付帯費用の削減につながります。
オフィスが都心部にある場合、郊外もしくは副都心エリアへの移転を検討してみてください。
都心部では賃料が高額になる傾向にあるため、都心部以外なら坪単価を抑えられ、賃料が安くなる場合があります。
選定に迷ったときは、駅との距離を目安にしてみてください。
徒歩10分以上を選ぶと、比較的賃料を抑えやすいでしょう。
ただし、従業員が通勤するにあたり、利便性とのバランスも考慮することをおすすめします。
また、Aグレードのビルにオフィスが入っている場合、Bグレードへの移転を考えてみてください。
グレードを落とすことで、賃料が安くなる可能性があります。
「ビルのグレードが分からない」といった場合は、共用部分に注目してみてください。
グレードの高いビルは、共用部分の設備が充実しているのに伴い、賃料が高く設定されているケースが多いです。
必要以上に共用部分が豪華なオフィスを避け、予算に合ったグレードの物件を見極めることで賃料を削減できるでしょう。
3.オフィスコスト削減テクニック【内装・設備編】
オフィス移転における内装・設備関連のコスト削減は、初期費用を抑えつつ、効率的で快適な職場環境を実現するために重要です。
以下で具体的なテクニックを紹介します。
・内装デザインの工夫
オフィス移転やリニューアルのコスト削減には、内装デザインの工夫が効果的です。
高価な素材や過剰な工事を避け、必要最低限の改修に留めることで、費用を大幅に抑制できます。
例えば、天然木材の代わりにビニール製タイルや合板を使用するなど、代替素材を活用することで、見た目の質感を保ちながらコストを削減できます。
また、業務に支障のない範囲で工事を行うことで、不要な装飾や高額なデザイン費用を削減することが可能です。
さらに、可動式の間仕切りやモジュール式の家具を採用することで、追加費用を抑えられる上、将来的なレイアウト変更にも柔軟に対応できます。
・空調・照明設備の効率化
空調と照明設備の効率化は、初期費用だけでなく、ランニングコストの削減にも大きく貢献します。
まずは既存設備を最大限に活用し、無駄をなくすことから始めましょう。
設計段階においては、最新型の省エネ空調システムやLED照明の導入をご検討ください。
これらの設備は、従来の製品と比較して電力消費量を大幅に削減できる可能性が高いです。
既存のエアコンを活用し、吹出口のみを増設する方法も有効です。
この方法であれば大規模な改修工事が不要となり、工事費を大幅に削減できます。
さらに、会議室などでは間仕切り上部を開放することで、空調設備の増設を避け、一層のコスト削減を実現できます。
4.オフィスコスト削減テクニック【什器・備品編】
什器・備品のコスト削減は、企業の固定費を抑えるために非常に効果的な施策です。
適切な方法を選択することで、初期費用や運用コストを大幅に削減できます。
・相見積もりと価格交渉
相見積もりと価格交渉は、コスト削減を実現するための非常に効果的な手段です。
複数の業者から見積もりを取り寄せ、比較検討すれば、より有利な条件を引き出すことが可能になります。
業者に相見積もりと伝えるだけでも、競争意識が高まり、より良い条件が提示される可能性が高まります。
価格交渉に臨む際は、事前に目標とする値引き幅を設定しておくことが重要です。
一般的には、約5%の値引きを目標に交渉を進めると良いでしょう。
さらに、雑談を交えたり表情や声のトーンに配慮したりして、より良好な関係を築く工夫をすることで、交渉を有利に進められる可能性が高まります。
・中古什器・備品の活用
中古什器・備品の活用は、新品と比べて大幅に安く調達できるため、初期投資を抑えられます。
中古オフィス家具は、新品の半額程度の価格で購入できることも少なくありません。
例えば、有名メーカーの両袖デスクが新品で10〜20万円だった場合、中古なら1台につき5〜10万円前後で購入可能です。
中古什器・備品の活用は、コスト削減につながるだけでなく、即時利用が可能だったり、環境に貢献できたりといったメリットもあります。
商品状態の確認やオフィスへの適性は見極めが必要ですが、特に小規模オフィスや個人事業主、コスト意識の高い企業にとっては有効な選択肢となるでしょう。
・リースやレンタルの活用
短期利用のオフィスなら、リースやレンタルの活用も、什器・備品のコスト削減に効果的な方法の一つです。
例えば、デスク・イス各3台と照明器具を含むパッケージを、月々約1万円でリースできるところもあります。
また、リース・レンタル会社が維持管理を担当するため、メンテナンスなどにかかる関連コストや手間を削減できるのも魅力です。
ただし、レンタルは、日単位や月単位で料金が発生します。
長期レンタル向けのサービスもありますが、コスト面での比較検討が重要です。
長期的には購入の方が安価になる場合もあると覚えておきましょう。
5.オフィスコスト削減テクニック【廃棄・処理編】
オフィス移転における廃棄・処理のコスト削減には、以下のテクニックが効果的です。
・廃棄物の分類と分別
ゴミを適切に分類・分別することで、処理にかかるコストを大幅に削減できます。
まず、オフィスから出るゴミには、以下のような種類があります。
・プラスチック類:ビニール袋、発泡スチロール、弁当の容器など
・ペットボトル:飲料ペットボトル、調味料ペットボトルなど
・金属類:刃物類、バインダーの金具など
・缶・ビン:商品の入っていた缶、ビンなど
・廃油:潤滑油、洗浄油、鉱物性油、溶剤など
・紙くず:建設業やパルプ製造業、製糸業、出版業などから出たもの
これらの廃棄物を分けて処理することで、収集運搬費と処分費の両方を抑えられます。
旧オフィスの片付けおよび、新オフィスの準備を進めるときは意識すると良いでしょう。
・リサイクルと再利用の推進
廃棄物を処理する際は、リサイクル可能な素材を適切に分別し、再利用を推進することも処理コスト削減に効果的です。
例えば、使用済みのプラスチックを再利用することで、新たな原材料の購入コストや廃棄物処理コストを大幅に削減できます。
なお、リサイクル可能な素材には、以下のようなものがあります。
・木くず、コンクリート塊、アスファルト塊
・段ボール、その他古紙
・金属くず
・石膏ボード、ロックウール吸音板など
リサイクル可能な資源を分別することで、処理コストの削減だけでなく、環境保護にもつながります。
移転の際に出た段ボールや古紙は、リサイクルを検討しましょう。
・社内教育と意識向上
社員一人ひとりが廃棄物削減に取り組むことが、全体のコスト削減につながります。
従業員が廃棄物削減やリサイクルの重要性を理解しない限り、現場での具体的な行動改善は期待できません。
教育を通じて知識を深めるとともに、意識向上を図ることで、全社的な取り組みとして定着させられます。
例えば、廃棄物管理やリサイクルについての定期的な研修を実施することで、従業員が最新の知識を習得できます。
また、リサイクル目標を設定し、達成したチームや個人に報奨金や休暇などのインセンティブを提供する仕組みも効果的です。
5.まとめ:オフィス移転のコストは工夫次第で削減できる!
本記事では、移転にかかる主な費用の種類を整理し、賃料交渉、居抜き物件の活用、内装工事の工夫など、効果的なコスト削減テクニックを紹介しました。
オフィス移転には多くの費用が発生しますが、計画的に進めることでコスト削減が可能です。
適切な対策を講じて移転後の財務負担を軽減し、より快適なオフィス環境を整えましょう。
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