オフィスの働き方が多様化する中、「部署間の壁をなくして連携を強化したい」「効率的なオフィス環境を作りたい」と考える企業が増えています。
その解決策の一つとして注目されているのが、ワンフロアオフィスです。
しかし、このスタイルにはメリットだけでなく、デメリットも存在します。
本記事では、ワンフロアオフィスの導入を検討する際に知っておきたいメリットとデメリット、デメリット解消のための対策を詳しく解説します。
INDEX
1.ワンフロアオフィスとは?
2.ワンフロアオフィス導入のメリット
3.ワンフロアオフィス導入のデメリット
4.ワンフロアオフィスの導入を成功させるためのポイント
5.まとめ
1.ワンフロアオフィスとは?
ワンフロアオフィスとは、複数の階数や拠点に分かれていたオフィスを、一つのフロアに集約したオフィス形式のことです。
壁や間仕切りがほとんどないオープンスペースで構成されており、全ての従業員が同じ空間で働くことが特徴です。
部署間や上司・部下の垣根を取り払えるため、コミュニケーションの活性化に役立ちます。
さらに、部署間の連携強化や情報の迅速化、物理的な移動の削減が期待されており、人員の増員やテレワーク化にも対応しやすいオフィススタイルとして注目されています。
2.ワンフロアオフィス導入のメリット
ワンフロアオフィスを導入すると、壁や仕切りが少ないことによりコミュニケーションが活性化したり、備品やスペースのためのコストが削減できたりします。
まず、導入のメリットから詳しく見ていきましょう。
・コミュニケーションが活性化する
ワンフロアオフィスの大きなメリットの一つが、コミュニケーションの活性化です。
壁や仕切りが少なくなるため、物理的な隔たりが減少し、異なる部署間や交流のなかった従業員同士でも自然と会話が生まれやすくなります。
ワンフロア化によってコミュニケーションが活性化されると、プロジェクトを遂行するにあたってのチームワークも高まります。
連携が取れて業務伝達がよりスムーズになり、情報共有が迅速化されると、職場全体のコミュニケーションも盛んになるでしょう。
・備品・スペースの共有によるコスト削減
ワンフロアオフィスにすることで、コスト削減にも大きく貢献します。
例えば、各階・フロアに分かれていたコピー機やプリンターを共有することで、必要な備品の数を減らせます。
オフィスの使用面積が減ることで、賃料の削減にもつながるでしょう。
さらに、数フロアに分かれている場合より、工事費を削減できる点もポイントです。
・レイアウトが変更しやすい
ワンフロアオフィスは固定の壁や仕切りが少ないため、レイアウト変更の融通がききやすいのがメリットです。
設備や配置の調整も一元的に管理できるため、複数フロアに分かれている場合より柔軟に対応できます。
レイアウトが変更しやすいことは、人員の増加やテレワーク、リモートワークの推進など、将来的な変化に対応しやすいことにもつながります。
固定席を設けないフリーアドレス制の導入も容易になるでしょう。企業の成長や働き方の変化に合わせて、迅速かつ効率的にオフィス環境を最適化できるスタイルです。
・業務効率が向上する
ワンフロアオフィスの導入は、結果的に業務効率の向上にもつながります。
情報共有が迅速化されることにより、自動的に業務の進行もスピーディーになるためです。
さらに、異なる部署間・交流のなかった従業員間で自然と会話が生まれやすくなると、新たなアイデアや解決策もひらめきやすくなります。
また、上司や部署間の距離が縮まることにより、意思決定のプロセスが短縮されることも、業務効率の向上をサポートします。
その他、移動を極力減らせるため、社内での会議や打ち合わせの時間を短縮できることもメリットです。
3.ワンフロアオフィス導入のデメリット
業務効率の向上につながるワンフロアオフィスですが、プライバシーが確保しにくい、騒音で集中力が削がれやすいといったデメリットもあります。
導入前にデメリットも知っておきましょう。
・プライバシーを確保しにくい
ワンフロアオフィスのデメリットの一つが、プライバシーを確保しにくいことです。
遮るものがほとんどないオープン空間のため、常に見られているような感覚に陥りやすく、従業員が落ち着かないと感じる可能性があります。
壁や仕切りがなく、物理的にも見えやすい距離のため、人によっては集中して作業を行うことが難しくなったり、心理的な圧迫感を覚えたりするケースがあるでしょう。
また、オープンな環境となるため、機密性の高い情報を扱う際にはより一層の注意が必要です。
・騒音で集中力が妨げられる
ワンフロアオフィスで発生する騒音によって、集中力が妨げられることもデメリットの一つです。
全ての作業員が一つのフロアに集まることで、総体的な作業音や会話量が増え、全体的な騒音レベルが上がってしまいます。
騒音や雑音は、従業員の集中力を低下させるだけでなく、ストレスを蓄積させるおそれもあります。
特に、静かな作業環境を好む人には適しません。
オンラインでの打ち合わせやミーティングの進行を妨げる可能性も出てくるため、騒音対策も必須です。
・温度管理が難しい
フロアの温度管理が難しいことも、覚えておきたいデメリットです。
広いフロア全体を一括で管理することになるため、快適ではない場所が生じる可能性が高くなります。
例えば、エアコンの送風口近くの席は「寒すぎる」、窓際の席は「暑すぎる」といった声が多くなることが考えられるでしょう。
労働安全衛生法に基づき、オフィスの温度は18度以上、28度以下に保つ必要があるとされています。[注1]
しかし、全ての従業員がこの範囲内で快適さを感じられるとは限りません。
体感温度の差により、全員の求める温度を保つことが難しいこともワンフロアオフィスにおける課題です。
[注1]厚生労働省「建築物環境衛生管理基準等の見直しについて」P.2
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000866659.pdf
・上司や経営層による圧迫感
ワンフロアオフィスは、上司や経営層による圧迫感が生まれやすいこともデメリットの一つです。
上司や経営層が同じフロアにいることで見張られているような気分になり、中には息苦しさや落ち着かなさを覚えたり、プライバシーが保てないと感じたりする従業員もいるでしょう。
上司や経営層が近くにいることで、従業員同士の普段の会話がしにくい場合もあります。
せっかくコミュニケーションの活性化が図れるオフィスであるのに、交流が抑制されてしまうのは残念なことです。
4.ワンフロアオフィスの導入を成功させるためのポイント
快適なワンフロアオフィスにするためには、デメリットをいかに解消できるかがポイントです。
プライバシー確保への工夫・騒音対策・環境の見直し・従業員へのヒアリングという、4つの対策を解説します。
・プライバシー確保への工夫
ワンフロアオフィスのデメリットであるプライバシー確保のしにくさを解消するためには、視線を緩やかに遮りつつ、圧迫感を与えにくい低めのパーテーションを導入するのがおすすめです。
パーテーション代わりに、背の高い観葉植物を置くのもおすすめです。視線を遮りつつも、緑で落ち着いた雰囲気を演出できるでしょう。
ワンフロアオフィスの一角に、ボックス席や個別スペースを設けるのも有効です。
プライバシーを確保しつつ集中できる空間を提供できる上、オンラインの打ち合わせやミーティングにも役立てられるでしょう。
・騒音対策
ワンフロアオフィスの騒音対策としては、壁や床に吸音材を使用することがおすすめです。
吸音材により音の伝わりを抑制でき、全体的な騒音レベルを下げられます。
吸音材より手軽に対策したいときは、パーテーションや防音パネル、サウンドマスキングの導入を検討してみましょう。
サウンドマスキングは空調音のような背景音を意図的に流すことで、周囲の会話や作業音を聞こえにくくする画期的な方法です。
また、機械音対策としては、プリンターやコピー機などを集中的に配置させるエリアを設けるのも良いでしょう。
ボックス席や個別スペースの設置は、プライバシー確保とともに騒音対策にも効果的です。
・オフィス環境の見直し
ワンフロアオフィスのデメリットとなる温度管理の難しさは、空調の担当者を置くことで解消できます。
フロア全体の温度を定期的にチェックするとともに、エリアごとに温度調整できるシステムを導入すると、より快適温度を保ちやすくなるでしょう。
ワンフロアによる視線や圧迫感を軽減したいなら、ワークスペースに併設する形でリラックススペースを設けるのもおすすめです。
パーテーションで自由に仕切れるようにすると、オフィス内のスペースも圧迫せず、場所によっては自然光を取り入れやすくなります。
また、リラックススペースは作業スペースと異なるデザインを採用し、一人用のソファーなどを設置すると、従業員の気分転換が図れます。
ハイカウンターを設置したカフェ風のデザインも、おしゃれでくつろぎ感を得られるでしょう。
・従業員の意見を募る
ワンフロアオフィスを導入する際は、従業員を含むプロジェクトチームを結成するところから始めましょう。
一従業員の視点を取り入れることで、ポジションによる方向性や認識の差を埋められます。
プロジェクトチーム発足後は、全従業員を対象としたアンケートを実施し、ワンフロア化に対する要望や懸念点をあぶり出しましょう。
より気軽に意見を募りたいなら、オープンディスカッションの場を設けるのも一案です。
また、ワンフロア化は一気に行うのではなく、一部のエリアでワンフロアオフィスを試験的に導入するとリスクを分散させられます。
従業員からのフィードバックをもらい、改善を重ねていきましょう。
5.まとめ:業務効率が向上するワンフロアオフィスを導入しよう
ワンフロアオフィスは、部署間の連携強化やコミュニケーションの活性化、業務効率の向上など、多くのメリットを提供するオフィススタイルです。
一方で、プライバシーの確保や騒音、温度管理、経営層の圧迫感など、デメリットも無視できません。
導入を成功させるには、デメリットを解消するためのポイントを押さえることが重要です。
プライバシーの確保や騒音に対する対策を講じることで、従業員の働きやすさと企業の成長を両立できるワンフロアオフィスを実現できるでしょう。
サン・プランナーは東京・名古屋を中心にオフィスのレイアウト・プランニング、インテリア・内装工事、電気系統・通信工事、電話・OA機器販売、オフィス家具販売、引越し、原状回復工事、オフィスツール、採用効率向上オフィスの事業内容を展開しています。
「電源コンセントや分電盤設置工事」・「照明器具設置工事」・「エントランスや外壁などの照明器具設置」・「LED電球を使用した省エネルギー・低コストのご提案・工事」・「空調設備工事」・「セキュリティ工事」・「サーバー移設・新設」・「VPN・無線LANの架設」等、オフィスづくりをサン・プランナー1社だけで全てを終わらせることができます。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
最後までご覧いただきありがとうございます。