オフィス環境や働き方が従業員に与える影響が問題視されている中、注目したい制度が「WELL認証」です。
WELL認証とは、従業員の健康と幸福を重視したオフィス環境であることを証明する国際的な認証制度です。
取得企業は、従業員が心身ともに健康に働けるオフィスを整備していることをアピールできるため、企業イメージ向上につながるというメリットがあります。
本記事では、WELL認証の評価項目や費用といった基本情報から、取得するメリット、実際の取得方法まで広く解説していきます。
INDEX
1.WELL認証とは?
2.WELL認証を取得するメリット
3.WELL認証を取得する方法
4.WELL認証で高ランクを取得するポイント
5.まとめ
1.WELL認証とは?
WELL認証とは、2014年にアメリカで始まった、身体的・精神的・社会的に良好な状態で働けるオフィス空間であるかどうかを測定・評価・認証する制度です。
WELL認証件数は、2024年2月26日時点で1,329件(481カ国)です。
そのうち、日本では2024年2月までに150件が登録され、そのうち49件が認証を得ています。
・評価項目
WELL認証の評価項目は、以下の10のコンセプトから構成されています。
・空気(Air)
・水(Water)
・栄養 (Nourishment)
・光(Light)
・運動 (Movement)
・温熱快適性(Thermal comfort)
・音(Sound)
・材料(Materials)
・こころ(Mind)
・コミュニティ(Community)
これら10のコンセプトには、それぞれ必須項目と加点項目が設けられています。
必須項目は全部で24あり、全てを満たさなければ認証してもらえません。
必須項目を満たした上で、90の加点項目を加えた点数により認証のランクが決まります。
・認証ランク
WELL認証で獲得できるランクは、以下の4つです。
・プラチナ:80~110点
・ゴールド:60~79点
・シルバー:50~59点
・ブロンズ:40~49点
これらの認証ランクは、建物や空間が人々の健康や幸福にどれだけ配慮しているかを総合的に評価した結果です。
・WELL認証取得のための費用
WELL認証を取得するために必要な登録・申請費用は、WELLの公式サイトにユーザー情報と対象建物の用途や面積などを入力すると算出される仕組みです。
最低でも15,500USD(2024年12月時点で約240万円)がかかるとされています。
2.WELL認証を取得するメリット
WELL認証を取得できれば、従業員の心身の健康に配慮したオフィス環境であることを証明でき、企業的にも従業員的にもプラスになります。
取得後に得られるメリットを詳しくチェックしてみましょう。
・企業価値と社会的評価が向上する
WELL認証は、環境への配慮や健康経営を外部に証明する世界的な指標として機能します。
そのため、WELL認証を取得することは、エコで従業員にもやさしい企業として、企業価値の向上と社会的評価の取得につながります。
また、WELL認証を取得することで、他社との差別化が図れることも見逃せないポイントです。
オフィス空間の質や従業員への配慮を重視する企業として、独自のポジショニングを確立できるでしょう。
総じて、WELL認証の取得は、環境への配慮や従業員の健康を重視していることを対外的に示す効果的な方法です。
現代の企業に求められる重要な価値観を満たしているとアピールできることは、大きな強味となるでしょう。
・従業員の健康が保たれる
健康経営の一つの証明となるWELL認証の取得は、従業員の健康維持に大きく貢献します。
WELL認証を取得するためには、オフィスの空気や水、光などの質を高める必要があります。
評価項目の中に、精神的健康に配慮した「こころ」や、人間関係の構築に焦点を当てた「コミュニティ」もあるため、WELL認証を取得できれば、従業員にとって健康的で快適な職場環境が完成します。
WELL認証を取得している施設では、従業員の健康促進や疾病リスクの減少が期待できるでしょう。
・従業員の満足度が向上する
WELL認証にはオフィスにおける空気・照明・音響などの最適化も求められるため、従業員は健康を手に入れられるだけでなく、快適に働けるようにもなります。
健康に配慮されたオフィス環境は、従業員のワーク・ライフ・バランスの実現もサポートし、従業員の総合的な生活の質が向上します。
結果、WELL認証を取得したオフィスは、「このオフィスで働きたい」という前向きな意見を引き出すとともに、従業員満足度を向上させるでしょう。
また、従業員満足度の高いオフィスを維持することで、離職率の低下にもつながります。
・生産性が向上する
WELL認証を取得すれば、従業員の健康促進と疾病リスクの減少、ストレス軽減などが期待できるため、生産性の向上にも寄与します。
音や光に配慮されたオフィス環境も相まって、心身ともに健康的な状態を保てることにより、業務パフォーマンスが向上しやすく、集中力や創造性が高まりやすいのです。
生産効率が向上すれば、企業の競争力の強化や利益拡大も見込めるでしょう。
3.WELL認証を取得する方法
WELL認証を取得するためには、オンラインでの登録申請と書類審査を経て、現地審査を受ける必要があります。
それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。
・登録申請
WELL認証を取得するにあたり、まずアメリカにある国際WELLビルディング協会(IWBI)への登録が必要です。
登録・申請は、IWBIのウェブサイトからオンライン経由で行います。
・書類審査
IWBIに登録したら、WELL認証の必須項目と加点項目を満たした証明書類に、意匠図や電気設備図などの設計図書を添えて送信しましょう。
回答までにかかる時間は、20~25営業日以内です。書類の不備などがあれば、再提出後さらに25営業日かかります。
なお、提出書類は全て英語での作成が求められると覚えておきましょう。
・現地審査
書類審査を通過したら、次はIWBIの認証審査員による現地調査です。
IWBI側とスケジュールをすり合わせた上、調査日が決定します。
現地審査からは40〜45日営業日以内に回答が届き、最終結果が通達される流れです。(再提出の場合、伸びる可能性あり)
・認証取得
現地調査後は、認証を取得できるかを待つのみです。
先述の通り、取得する際は、ブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナの4つのレベルに分かれます。
なお、WELL認証の有効期限は3年間です。
継続のために再審査を受ける場合は、取得後、年に1度の頻度で義務付けられている各種状況のログや施設利用者のアンケート、測定記録の報告が必要です。
欠かさないよう気をつけましょう。
4.WELL認証で高ランクを取得するポイント
せっかくWELL認証を取得するなら、プラチナやゴールドを目指したいという方もいるでしょう。
最後に、高ランクを取得するためのポイントを解説します。
・24の必須項目を確実にクリアする
WELL認証で高ランクを取得するためには、24の必須項目を確実にクリアすることが不可欠です。
特に、認証項目のうち「空気」は、各エリアや個室の換気量が認証基準を満たすように設計段階からレイアウトを工夫するなど、早期からの対策が効果的です。
また、調節機能のついた椅子の採用は、「運動」の評価項目では必須項目となっています。
これらのポイントを押さえ、24の必須項目を確実にクリアすることで、WELL認証の高ランク取得へより近づけるでしょう。
・90の加点項目から点数を獲得する
WELL認証で高ランクを取得するためには、90の加点項目から効率的に点数を獲得することも重要です。
まずは、各評価項目の加点項目数をチェックするところから始めましょう。
既存の設備や運用体制で対応できる、実現性が高い項目に狙いを定めると、効率的に点数を獲得していけます。
WELL認証は3年ごとの更新制であるため、一度高ランクを取得できたからといって、永久的にプラチナやゴールドレベルが保てるわけではありません。
高ランク維持のためには、継続的な改善と最新の基準への対応が必要です。
・10のコンセプトを総合的に取り入れる
WELL認証で高ランクを取得するためには、10のコンセプトを総合的に取り入れることも重要です。
例えば、「運動」の評価項目を満たしたいなら、スタンディングデスクや昇降機構を備えるデスクの導入を検討してみましょう。
座り過ぎを防ぐ働き方を実現できるとともに、高評価につながります。
また、「光」の評価項目狙いなら、シミュレーションツールを活用し、認証基準を満たす器具選定と照明計画に力を入れるのがおすすめです。
これらのコンセプトをオフィスへ総合的に取り入れることで、WELL認証の高ランク取得が可能となるでしょう。
・専門家のサポートを受ける
WELL認証で高ランクを取得するためには、専門家のサポートを受けることが効果的です。
WELL認証を取得するためには、10のコンセプトに対する専門的な知識が必要な上、取得するまでに英語での書類提出や現地調査など、いくつものステップを踏まなければなりません。
中には早期対策が求められる項目もあるため、専門家によるサポートを受けた方がより確実に取得へ近づけるでしょう。
5.まとめ:WELL認証を取得して従業員の健康を守る企業だとアピールしよう
WELL認証は、快適なオフィスで重要視される10のコンセプトの元、評価項目と評価レベルが設けられています。
取得できれば企業ブランディングにつながり、従業員にも外部の人にも価値ある企業であることをアピールできます。
ただし、高ランクを狙い、10つのコンセプトを網羅しようと思うと、専門的な知識と高クオリティの設備が必要です。
専門家のサポートを受けながら、オフィス環境の改善に取り組むと良いでしょう。
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