現代のビジネス環境において、企業が成功を収めるカギは単に業績だけでなく、働く環境も大きく関わっています。
そこで近年、注目を集めているのが「WELL認証」です。
WELL認証とは、働く人々の健康と福祉を向上させることを目的としており、オフィス環境の質を評価するものです。
本記事では、WELL認証の概要や取り組むメリット、そして実際にオフィスでどのように実践するかについて詳しく解説していきます。
INDEX
1．WELL認証とは
2．WELL認証に取り組むメリット
3．オフィスでの実践方法
4．まとめ
1．WELL認証とは
WELL認証は、ビルやオフィスなどの空間が人々の健康と福祉にどのような影響を与えるかを評価する、2014年にアメリカで始まった国際的な建築環境評価システムです。
国際WELLビルディング協会（IWBI）が制定し、現在ではオフィス、学校、住宅などさまざまな施設に適用されています。
WELL認証の評価基準は、以下の10の概念に基づいています。
➀空気（Air）：室内の空気質の改善
➁水（Water）：安全で清潔な水の提供
➂栄養（Nourishment）：健康的な食事環境の提供
➃光（Light）：適切な照明環境の提供
➄運動（Movement）：運動を促進する環境の提供
➅温熱快適性（Thermal Comfort）：快適な室内環境の提供
➆音（Sound）：適切な音環境の提供
➇材料（Materials）：有害な化学物質を含まない建材の使用
➈精神的健康（Mind）：精神的健康を促進する環境の提供
⑩コミュニティ（Community）：コミュニティの健康と福祉の促進
WELL認証は第三者による厳格な評価を経て授与されるため、信頼性が高く、国外の多くの企業や組織が取り入れています。近年では日本でも認証取得を目指す企業や組織が着々と増えてきています。
・WELL認証の取得方法
WELL認証取得までの流れをご紹介します。
書類の提出
WELL認証を取得するためには、国際WELLビルディング協会（IWBI）に登録し、必要書類を提出する必要があります。
書類審査
IWBIで書類審査が行われます。
書類の審査には20~25営業日ほどの期間を要し、不合格の場合はもう一度書類提出からやり直しです。
実地調査
IWBIによって3〜4日ほど実地調査が行われます。
調査結果が出されるのは40〜45日後です。
再認証
認証取得後もメンテナンスの具体的な取り組みや空気質・水質などの報告を行わなければなりません。
また、WELL認証の有効期間は3年間であるため、再審査を受ける必要があります。
2．WELL認証に取り組むメリット
WELL認証に取り組むことで、もたらされるさまざまなメリットをご紹介します。
・従業員の健康と福祉の向上
従業員の身体的及び精神的な健康に配慮した環境づくりを通して、従業員の健康と福祉を向上させることができます。
これにより、病気やストレスによる欠勤が減少し、生産性が向上します。
健康で幸せな従業員は、企業の成長に貢献する重要な資産となります。
・採用のしやすさと定着率の向上
優れた職場環境は、優秀な人材を引き付ける大きな要因です。
WELL認証を取得したオフィスは、求職者にとって魅力的な職場となり、優秀な人材の採用と定着率の向上に寄与します。
また、既存の従業員の満足度が高まり、離職率の低下も期待できます。
・ブランドイメージの向上
WELL認証を取得することは、企業が従業員の健康と福利を重視していることを示す一つの証です。
企業の社会的責任（CSR）やサステナビリティに対する取り組みの一環として、ステークホルダーや顧客に対して強いメッセージを発信することができます。
・コスト削減
一見すると、WELL認証の取得にはコストがかかるように見えますが、長期的にはコスト削減につながります。
健康的な職場環境により、従業員の離職率が低下することで、採用コストの削減が期待できます。
また、エネルギー効率の改善などによる運用コストの削減も可能です。
3．オフィスでの実践方法
WELL認証を取得するためには、具体的にどのような取り組みをしていけばよいのでしょうか。
ここでは、WELL認証取得のための方法を解説していきます。
・空気質の改善
オフィス内の空気質を改善するために、空気清浄機の設置や定期的な換気などを積極的に行いましょう。
また、観葉植物の配置も空気質の改善が期待できます。
・安全で清潔な水の提供
オフィス内の飲料水の質を確保するためには、フィルターの設置や定期的な水質検査を行い、安全で清潔な水を提供することが必要です。
また、従業員がいつでも新鮮な水を飲める環境を整えるために、ウォーターサーバーを設置してもよいでしょう。
・健康的な食事環境の提供
社員食堂やカフェテリアでは、健康に気を使った食事を提供することが重要です。
新鮮な野菜や果物、栄養バランスの取れた食事メニューを用意し、従業員が健康的な食生活を維持できるようにサポートしましょう。
・適切な照明環境の整備
自然光を取り入れる設計や、調光可能なLED照明を設置することで、従業員の視覚的な快適性を向上させることができます。
昼間の光に近い照明を使用することで、日中の活動リズムを維持しやすくなります。
・運動を促進する環境の提供
オフィス内に簡易フィットネス設備やジムスペースを設置したり、階段を利用しやすいようなデザインにしたり、定期的な運動プログラムやスポーツイベントを開催することで、従業員が積極的に運動できる環境を提供しましょう。
・快適な室内環境の提供
温度や湿度の調整ができる空調設備を整えることも重要です。
特に温熱快適性は従業員のパフォーマンスに直結するため、個々のニーズに応じた温度調整が可能なシステムを導入すると良いでしょう。
・精神的健康のサポート
従業員のメンタルヘルスサポートとして、カウンセリングサービスの提供やゆったりとくつろげるリラクゼーションスペースの設置を検討しましょう。
また、ストレス軽減のためのプログラムやワークショップを開催することも有効です。
・音環境の整備
オフィス内の騒音を軽減するためには、防音材の使用や吸音パネルの設置が効果的です。
また、静かな作業スペースを確保するために、ゾーニングを行い、音の影響を最小限に抑える工夫をしましょう。
・コミュニケーションの促進
従業員同士のコミュニケーションを促進するためのオープンスペースや共有エリアを設置し、チームビルディングの機会を増やしましょう。
また、社内イベントやボランティア活動など、従業員がさまざまなコミュニティに参加できる環境を整えることも大切です。
4．まとめ：健康的で魅力的なオフィスを作るためにWELL認証を活用しましょう
オフィス環境の改善に取り組む際には、WELL認証の10の概念を参考にし、具体的な対策を講じることが重要です。
空気質や水質の改善、健康的な食事環境の提供、適切な照明や音環境の整備、運動を促進する設備の導入など、さまざまな側面から従業員の健康と福利をサポートすることが求められます。
WELL認証を取得することで、働く環境の質を高めていきましょう。
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