ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)は、仕事の内容に応じた最適な場所で自由に仕事をすること、そのシステムのことです。
フリーアドレス制とは考え方が少し異なりますが、従業員の働きやすい環境にして効率化を図ろうというコンセプトは似ています。
今回は、ABWについて提唱者や効果、そして導入する際の手順などをじっくりご紹介したいと思います。
INDEX
1.ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)とは
2.ABWとフリーアドレス制の違い
3.ABW導入の具体的な手順
4.まとめ
1.ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)とは
ABWは、Activity Based Workingの頭文字をとったものです。
仕事の内容に合わせて働く場所を自由に選択するという柔軟な働き方を意味する言葉で、オランダのVeldhoen+Company(ヴェルデホーエン)という企業が提唱しました。
Veldhoen+Companyは、1990年からすでにABWを提唱して世界中にその利便性を啓蒙してきました。
ABWというワードの初出はこれよりも以前の1985年で、論文において「仕事内容にはそれぞれ合う空間があること」と「合う空間とは複数の種類があること」が語られました。
こうした理論を実際にプロジェクトとして展開したのが、Veldhoen+Companyです。
Veldhoen+Companyが提唱するABWとは、企業のビジネスのあり方やモットーに適合する働き方を見つけ出すための促進剤を意味します。
働く場所をその時々の仕事内容によって自由に選択するという現在のABWとは、少し意味合いが異なるかもしれません。
しかし、ABWが多様性を尊重する現代日本にマッチしたスタイルであることは間違いなく、人材確保のための重要なコンセプトであることは確かです。
ABWを駆使して得られるメリットには、次のようなものがあります。
・ABWのメリット:ウェルビーイングな職場を作れる
ABWは、職場の風通しを良くして全従業員が働きやすい環境を整える効果があります。
そのため、心身が健康で充実した状態で仕事に従事できる職場を作ることができます。
働きやすい環境を整備することは、離職率の低下や優秀な人材の確保にも効果があるため、中長期的には企業の持続・成長を見込むことができます。
・ABWのメリット:組織に柔軟性をプラスできる
ABWは、「仕事内容によって働きやすい場所や環境を選択できるようにする」というシステムです。
働きやすい場所や環境を整備することによってより効率的な仕事ができるようになり、急な変更や難問にも対応しやすい柔軟な姿勢を育むこともできます。
・ABWのメリット:社員の満足度UP、ワークライフバランスの達成が実現する
ABWは、社員にとっての働きやすさを支援するものです。
実施することによって、社員はワークライフバランスをより良い状態で保てるようになり、従業員満足度を高める効果が期待されます。
近年、ワークライフバランスをより良く保つことは、就活生や転職希望者の間でも重要視される事柄です。
ワークライフバランスを整えられる環境を提供してくれる企業は、「働きやすい会社」として人気を集める傾向にあり、優秀な人材を確保するために有利にはたらくでしょう。
従業員満足度を高めることで、企業としての価値を高めていくことができます。
2.ABWとフリーアドレス制の違い
ABWとフリーアドレス制が似ていると感じる人は多いでしょう。
確かにこれらには「フレキシブルなワークスタイルを可能にする」という共通点がありますが、異なる点もあります。
それは、フリーアドレス制が物理的な面のみに特化しているのに対して、ABWはIT環境などテクノロジーや従業員の行動そのものにも関連しているという点です。
フリーアドレス制は、個人のデスクを定めずに出社したら好きな場所に座って仕事をするスタイルを言います。
これは、オフィス環境の中でどのデスクを選ぶのかという点のみに自由な選択肢が与えられている状況です。
対してABWは、「一人で集中したい時は区切られた小さな空間」「クリエイティブな意見交換をしたい時は会議よりも自由な雰囲気になるカフェスペース」など、デスクを飛び出して働く場所を選べる点が大きな特徴になっています。
オフィス内のどこでもPCが使えたり、Wi-Fi環境が整っていたりする必要があるため、IT環境の充実度合いが、ABW実現には必須といえます。
フリーアドレス制は、オフィスに出社することを前提とした制度ですが、ABWはIT技術を使ってテレワーク、在宅勤務とフレキシブルに組み合わせることが可能で、より社員の裁量と自由度が高いワークスタイルになっています。
3.ABW導入の具体的な手順
自社にABWを導入したい時の具体的なプロセスを、3つのステップにまとめました。
オフィスのレイアウト変更や引越しの際に、ぜひ参考にしてみてください。
・ステップ1:従業員に調査を行う
仕事には、さまざまなシーンがあります。
例えば、一人で高い集中力を発揮しなければできない業務もあれば、グループでコミュニケーションを密に取りながら従事すると効率が良い業務もあります。
電話やオンライン会議を静かな環境で行う場合もあれば、チャットやメールのみでやり取りができる仕事もあります。
複数人で仕事をする場合も、ざっくばらんに会話をしながらできる業務と、関係者のみのクローズドな空間で話し合う必要がある業務もあります。
どのような空間が必要か、どのような空間で仕事をするとより良く働けるのかということを、まず当事者である従業員にヒアリングしていきましょう。
・ステップ2:必要な環境を確認する
調査することで、必要な環境がみえてきます。
オフィスのスペースや予算に限りがある場合は優先順位も決めておくと、レイアウトを決める時にスムーズなので、「絶対に必要な空間」「できれば必要な空間」「あると嬉しい空間」などと順位づけをしておきましょう。
・ステップ3:制度や体制を整備する
環境を整えただけでは導入が完了したといえないのがABWの難しいところです。
ABWのコンセプトを従業員と経営陣(トップ)が理解して、その利便性と可能性を把握しないと、空間を整えても結局同じ環境で仕事を続けるのが当たり前になってしまいます。
「今日から自由に仕事をして良いですよ」と社員に丸投げするのではなく、円滑に利用できる制度や体制を社員とともに整備していく必要があります。
また、ABWを稼働させた後にもヒアリングを行い、実際の働きやすさやワークライフバランスについて調査していくのも重要です。
空間を使ううちに、「やはりこの空間は使いにくい」「ここは使いやすいからもっとスペースを増やして、たくさんの社員が同時に使えるようにすると良い」という改善点が見えてくる可能性があります。
そうした点をすくいあげ、アップデートをしていくことで、企業の成長につながる仕事の効率化が達成されていくでしょう。
4.まとめ
ABWは、仕事の内容に応じた最適な場所で自由に仕事ができるシステムのことです。
ABWを導入することで、ウェルビーイングな職場ができ、社員の満足度アップに繋がります。
「ABWを導入したいけど、何から始めれば良いか分からない」という場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
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